『朔宵（さくよい）』　己龍

　作詞:黒崎眞弥
　作曲:九条武政

　かァごめ かァごめのなか 誰そ彼の朱（あけ）に落つ
　踊る祭囃（まつりばやし）噎（む）せ返る人垣
　連ぬる提灯（ちょうちん）の狭間（はざま）に ゆらぁり 影
　孤面（こめん）「おいでや おいで」 丹（に）と笑み 手招き

　‥嗚呼…ぁ…あぁぁ

　右手（うのて）ニ 朱（あか）ク滴（したた）ル甘ィ 林檎飴
　左手（さのて）ヲ 引ク少女繋ぐも 見ズ知ラズ
　虚ろ目 鬼火蒼黒（あおぐろ）く揺らめき
　祭り囃（まつりばやし）背向けし 空蝉（うつせみ）ノ森ニ

　蝉時雨（せみしぐれ）と共に憂（うれ）ひに戯（たわむ）らば
　十（とお）を数ヱ振り返り縷々（るる）と口遊（すさ）み　　　　　　　　　　「ねんねんおころりよ」揺湯（ゆた）ふ子守唄
　骨身（ほねみ）深く染入りて四方（よほう）は丑刻

　朔（さく）の夜 這い出づる
　怨み 辛み 妬み 悔闇 憎染み
　夥（おびただ）しき腕（かいな）
　彼方 此方 其方 何方 伸び出でる

　孤面（こめん）囁ク
「ほぉら 逃げしゃんせ」

　踏み染む跫（あしおと）は
　ゆらァり どろォり べちャり じろり ぐるゥり と
　孤面（こめん）は指差すも
　彼方 此方 其方 何方 せせらセラ嗤（し）ゥ

　佇（たたず）む【その子】手引き 参道駆け（さんどうかけ）れど
　九十九折（つづらおり）の鳥居（とりい）歪む石畳路（いしだたみじ）
　谺（こだま）せし-か-ら-こ-ろ-か-ら-ん-　鼻緒（はなお）ぷつり と
　卒爾（そつじ）に 【此ノ子】引き攣（つ）りて含み笑ヱバ

　結 ビ 手 開 キ

　真ん丸 な 眼（まなこ）が
　見開き 血走らせ 這ひ摺り（はいすり）廻らば（まわらば）
　朽ち木に 逆さ吊
　彼方 此方 其方 何方 宙ぶらァり

　女童（めのわらわ）問ふ 皺嗄（しわか）レ声デ
「う し ろ の 正 面…だぁアれ？」 指差す

　目隠し鬼さん 夜明けノ晩ニ
　鳴かずの鶏（とり）ハ 首ちょん切ラレ
「あはれなり」

　朔（さく）の夜 這い出づる（はいでづる）
　怨み 辛み 妬み 悔闇 憎染み
　夥（おびただ）しき腕（かいな）
　彼方 此方 其方 何方 伸び出でる

　孤面（こめん）嘲り（あざけり）
「ほぉら ツ カ マ エ タ」

　踏み染む跫（あしおと）は
　ゆらァり どろォり べちャり じろり ぐるゥり と
　籠目駕籠（かごめのかご）ノ中ハ
　何時（いつ）何時（いつ） 出やる 出やれずに 小止ミ咽ク（こやみむせく）　消ユ


　『朔宵（さくよい）』PV↓
　http://youtu.be/V0Na5QXN4Iw

　『朔宵（さくよい）』振付講座↓
　http://youtu.be/XN7gUqduDsM